異彩トリオ

●異彩トリオ Diango ~ Shinsyu Jazz Min Live Series(1枚組、税込2,000円)→ 購入する

 異彩トリオ/Djangoの制作にあたって

2年前、JAZZ縁つながりのご紹介で松本市に隣接する塩尻市出身のヴィブラホン・マリンバ奏者YUKARIさんのミニアルバム制作を手伝いました。彼女の、30代前半という若さ-と小柄な体型から予想もしない演奏っぷりに瞠目、その後数回ライブを聴くうちに「逸材」と言える奏者…と自信を持ちました。あの赤松敏弘さんの門下の愛弟子のようでもあり、演奏では彼女の曲への思い入れと4本のマレットから発してくる音にジャズこころが強く共鳴したのです。


 まず関西デビューをと考え、京都le club jazzの藤井美智さんのセッションでデビュー、その場でも大いにお客様を沸かしました。この会場で、私とは6年前くらいから面識があり、今や更に腕を上げて京都・滋賀で高い評価を得ているテナーサックス奏者/西村有香里さんが同じ「ゆかり」で初対面となりました。

 西村有香里さんはピアノの小野麻美さんとの優れた共演も多く、小野さんはJAZZ民既発の<青い影>でもピアノへの耽溺ぶりが聴く者の気持ちを捉えます。それは他の2人に全く共通の『ひたむきさ』でもあり、この「異彩」としか表現できないトリオの編成で過去の名曲の演奏にもコダワリをもつ信州JAZZ民の盤を作りたいと強く思うに至りました。

 このトリオ演奏は全員未体験な部分が多いものの「やってみよう」が「やりたい!」に次第に変化し、2019年6月に大津市で初めて音合わせに集まり、曲目も大体決まったトコロで10月には京都祇園<Bonds Rosary>さんのご好意で急遽ライブを開催、そして本番は長野県安曇野市の<あずみ野コンサートホール>で11月4日のライブ開催となりました。


  会場はJAZZ会場としては長めの残響とピアノのベーゼンドルファーがやや個性的ではあるものの、客席にはテナーを中心にヴァイブもピアノもとても心地よく響きます。
トリオ主体の中にソロも盛り込んで自身の音への思い入れを高め、どの曲を取り上げても繊細さに大胆さの加わった女性トリオゆえの華麗さにも溢れた演奏です。


 CD化に当たってはライブから奏者の意向で2曲を外して1枚とし、ミキサーは8本のマイクからの編集を約1ヶ月かけて何度もやり直して原盤を作成、会場のライブ感を全くそこなうことなくシステムから聴けるよう苦労しました。ミキサーも監修の私も、真空管オーディオ愛好者としてのチェックを心がけ、過去の著名ライブ録音のアナログ盤から学んだものを少しでも生かそうと努力をして仕上げた1枚です。ソフト制作者が聴き手としても長いキャリアを持つのが信州JAZZ民CDです。