Charles Robert Redford Jr.“Ordinary People”1980

アメリカの平凡なミドルクラスを襲った長男死亡という事故。この余波が主人公の次男を動揺させ、やがて家族そのものを揺るがしていく。一見普通のホームドラマだが、家族の傷や葛藤を鋭く抉いており、予定調和的な幸福は訪れない。

そもそもティーンエイジャーの主人公が精神科に通うこと自体がどこか病んでいる。レーガンの新保守主義によって外側から無理やり崩壊していくアメリカのミドルクラスの運命を予告しているかのようだ。日本でも、森田芳光『家族ゲーム』1983年など90年後半の大々的な構造改革まで崩壊の密かな予感があったと思う。