新藤兼人『裸の島』1960年

    戦後復興し経済成長する世の中から取り残され、段々畑で水を内陸から日に何度も運び厳しく単調な労働をする瀬戸内海の小さな島の父母子供二人の農家の暮らし。家は掘っ立て小屋のようで、食事や風呂は暖かいこともあって外でしている。瀬戸内海の風景は美しく生活は素朴だが、それ以上に生活は過酷だ。終盤、子どもの一人が熱を出して死んでしまう。これも戦前からの連続性を感じさせる。

1960年作の本作がどれだけ現実を反映しているかは不明だが、こうしたことはあったのではないかと思われる。林光の音楽はまあまあかな。