音楽が楽しくなる本

音楽プロデュサーの牧村憲一氏が関わったポップミュージック講座。10のレクチャーがあるが、いくつか興味深い発見があった。

モダンジャズ中心の正史に対して、オルタナティブなジャズ史が必要(柳楽光隆)。ヒップ・ホップとジャズと融合させた音楽を作っているロバート・グラスパーが「なぜジャズ」をこだわっているのか?謎だった。このレクチャーは正史とは違うジャズを示していて納得しきりだった。

どんなに素晴らしい曲、パフォーマス、アレンジであっても、それを生かすも殺すもエンジニア次第」133頁(冨田ラボ)。これも納得。録音された音楽の場合、肌ざわり、空気感、音抜けとかによって音楽の印象がまるで変ってくる。レクチャーではスティーリー・ダンやマイケルジャクソンの音楽を解説している。例えば『オフ・ザ・ウォール』収録の「ロック・ウィズ・ユー」のドラムの音。前からこのドラムは、音の腰があるが抜けていて、思わずダンスしたくなるようないい音だと思っていたが、その録音の秘密に触れている。これも思わず唸ってしまった。