文化人類学の夢と罪②

だが、皮肉にもデッチあげの夢理論にインスパイアされて傑作アルバム:ジョン・ハッセル『マラヤの夢理論』1981年(ブライアン・イーノ協力)が生まれることになった。ジャングルの密林に霊気が漂う様なジャケット。内容は、ダブっぽいエレクトリック・ミュージックをベースに、リズミカルな現地で録音した水遊びのコラージュやガムランが加わり、ジョン・ハッセルが生々しい吐息のようなエレクトリック・トランペットを吹きまくるというもの。今聴いてもかなり革新的。寝ながらボーッとして聞いてもいいし、夜中の高速で大音量で聴いてもいい。精神がトリップして、「マラヤの夢理論」が、リアルに味わえる。「嘘から出たまこと」とはこのことだ。英語サイトでは、ウィリアムの指摘は無視され、このアルバムと「夢理論」論文ばかりが出てくる。ウィリアムもキルトンの捏造は指摘したが彼を非難していない。それだけこの夢理論は、魅力があるということだろう。