蜷川実花『ヘルター・スケルター』2012年

美しくなりたいという女性の欲望を一身にまとって登場したりりこ(沢尻えりか)は、じつは全身整形している、という話。

 消費社会の幻惑は美しく楽しくもあるが、一歩間違えるとグロテスクな地獄と化す。監督の蜷川は独特の美学でその両者を捉えた。ところどころに挟まれる優雅なオーケストラは非常にいい味を出している。上野耕路の作だったが、意外なところで活躍していてうれしい。